富士 箱根 伊豆 国立公園 三ツ峠山登山 御巣鷹山(1.775m)・開運山(1.785m)・木無山(1.732m)
●新御坂トンネル ●天下茶屋 ●登山口 ●三ツ峠山荘 |
2003年12月2日 三ツ峠山登山には多くのホームページを参考に下調べさせていただいた。富士の見える低山のなかでも間近で好展望の山として人気のようである。また山頂近くまで林道も通じる(一般車は通れないと思うが)ルートは安心して登れる山のようだ。 ちょっと足を延ばす山行きの時はいつもそうであるが子供の頃の遠足と同じである。あれこれ考え興奮するから予定時間より早く目覚めてしまう。今回もご多分に漏れずであった。暗い中ザックを車に積み込んだが、見上げた空は煌く星空がいっぱい広がり、期待からワクワクしてくるのであった。 一宮御坂インターを降りてから、御坂トンネルに向かう国道137号線、当てにしていたコンビニがなく焦ってしまった。一旦、河口湖町まで降りたが、灯りを見つけたときはホッとした。三ツ峠山に登る前、富士山のビューポイントとして有名な旧御坂トンネルへ行ってみることにした。この御坂道は何十年ぶりであろうか。新しいトンネルが開く前、親戚のある湯河原町との行き来に何度も利用したが当時の記憶も薄れて定かでなかった。 |
右手登山口へ |
中間点の休憩所 |
ビューポイントの天下茶屋前にはチャンスを待つカメラマンがすでに何人も待機していた。真っ暗の中、黒いシルエットの富士山を前に、静かに時の進むのを待った。やがて昇り始めた強烈な光で、微妙な色の変化を見せながら浮かび上がってきた富士山はなんとも美しい姿であった。変わって裾野で小さく光っていた町の灯りは目立たなくなり、湧き上がってきた綿雲が河口湖を覆い隠していった。私は居並ぶカメラマンと一緒になって夢中でシャッターを押し続けた。 登山口下の駐車場まではほんの5分ほどであった。車の中で朝食を済ませてから身支度を整えた。ゲート脇から登りはじめる登山道は専用の車がぎりぎりながらも通れるダートの道だ。太陽がしっかり上がったわけなのに日が当たらない地形の道は寒々としていた。やがて砂防ダムの沢から離れ、石の浮き出たジグザグ道を登っていくと休憩所のある平坦地へ着いた。 |
急峻道をジープが |
三ツ峠山荘への分岐 |
小休止の後、さらに急坂になった道を登っていくが所々、慢性的と思われる泥濘(ぬかるみ)道にでくわす。決まってそんなところは落ち葉一杯で絨毯のような脇道がつけられていた。また長い年月を経たブナの大木があった。裸に近い状態ながら、まだ頑張れるぞと言いたげに踏ん張り、立っているようにも見えた。 車の音がしてきた。脇に寄り避けているとチェーンをつけたジープだった。頭を下げ合ったが運転手は真剣な顔をしている。急カーブをどう曲がるのか、しばらく見ていたが器用に切り返した。ただ、腸(はらわた)がひっくり返るのではと思われるほど目一杯、前後左右に車体を揺らしながら下っていった。その様子は、まるでロデオのようだなと思った。やがて三ツ峠山荘と木無山方面への分岐に着いた。そして前方も明るく空が開けてきた。 |
三ツ峠山荘 |
三ツ峠山頂が目前に |
山荘が見えてきた。早く絶景を見たいと息せき切って登った。ちょっと遅れて女房も着いた。山荘脇の展望所から、今度はいっぱい日を浴びた富士山がそこにあった。雲ひとつない青空の中に、白い頂で端整な姿はお見事というしかない。どうしてこんなに綺麗なのかと思ってしまうほどだ。ここに来てよかったなぁと思った瞬間でもある。単独で登りついた青年も「おぉ」と声を出したまましばらく見入っていた。 |
正面に黒岳と御坂山(右)そして遠く南アルプスと甲府盆地 |
山荘前を通り、まず三ツ峠山(開運山)へ行くことにした。ほんの少しの歩きで、なだらかな展望地に着いた。ここからの展望もまた見事である。葉の落ちた木々越しには八ヶ岳の山々が、その左手はるか遠くに北アルプスの山並みもはっきり見ることができた。そして正面の御坂山魂の主峰、黒岳の頭の先には南アルプス連山すべてを望むことができた。 |
なだらかな平坦地 |
急峻な岩壁 |
四季楽園という小屋横を通り、アンテナや反射板の林立する山頂を目指した。右手に急峻な岸壁現れた。ロッククライミングの訓練で賑わうようだが、人の姿は見えなかった。それにしてもこの岩場、どのようにして登るのか見当もつかなかった。 頂上までの僅かな距離が急できつい。きれいに木道ができていたが歩幅が合わないので霜の降りた砂道を一歩一歩登った。 |
富士吉田市と富士山 |
先に着いていた先ほどの青年がニコニコ言葉をかけてきた。『ここからの展望は更に見事だねって』。その言葉に促されるように振り向いた。なんとも見事である。目の前に広がる広大な風景には圧倒されてしまった。お〜ぃ、凄い景色だよって喘ぎながら登ってくる女房に声掛けした |
山頂へきつい登りが・・ |
三ツ峠山頂 |
北側の一部分を除いて目の前には絶景のパノラマが広がる。澄み切った大気はどこまでも見通せる展望であった。素晴らしい展望と期待はしてきたが、これ程とは思わなかった。ほかの登山者も次々と登ってくるようになった。風もなく穏やかな天候で、しばらく離れがたい山頂からの眺めであった。 |
御巣鷹山へも行ってみることにした。ここも轍のある狭い道が続いていた。テレビなど電波送信搭の建つ山頂は、その建物とアンテナが山頂を占め、頂を示すものもない狭さだった。周辺には背の高い木もあり、僅かに木々の間から申し訳程度の風景が広がっていた。 |
送信搭の建つ御巣鷹山へ |
御巣鷹山からの河口湖 |
四季楽園小屋と三ツ峠山荘の中間にある展望地に戻り昼食をとることにした。 5つ程あるベンチには若いカップルや中高年のグループ、同年齢と思われるご夫婦など、思い思いの方角と向き合い、変わらぬ展望を満喫しながら食事をとっていた。私たちは久しぶりに背負いあげたストーブで湯を沸かし、小さなカップ麺とドウナツパンというアンバランスな食事だった。ただ目の前の絶景が何よりのおかずとなった。 あっ、それから美味しい信州リンゴのかぶりつきデザートもね。 |
シモツケ |
埼玉のご夫妻 |
木無山からの富士山 |
バラの実 |
僅かの距離にあるはずの木無山(けなしやま)がどこかわからない。それらしい方角にある展望所でご夫婦に尋ねた。私たちより少し若そうなご夫婦だ。ザックの中から取り出した本を見ながら一緒に考えてくれた。どうもこっちの方だねと言いながら一緒に行くことになった。登山道沿いでは薔薇の実と、いくつか残る真っ赤なシモツケの葉がひときわ目立った。 木無山へはほんのひと歩きで着いた。その木無山、原っぱのような所で、平原の先にも富士山を見ることができた。 ご夫婦とはしばらく立ち話となった。昨夜は麓のワゴン車で仮眠し登ってきたとのこと。感じの良いご主人と綺麗な奥さんは埼玉から来たとのことだった。信州の山にもまた登りたいと話されていた。 |
登山口は間もなく |
露天風呂の天水 |
下山は日も差し込み明るく軽快な足どりとなった。ちょっと忙しい行程と思ったが精進湖、本栖湖にも回りたいと思った。途中露天風呂が売りの天水の看板を見かけ寄ることにした。気持ちよい湯でさっぱりすることができた。 精進湖、本栖湖方面は二人とも初めてであった。傾き始めた日差しをいっぱい受けた富士山は、また違って素晴らしかった。上九一色村、中道を通り甲府南へでるルートも初めであった。終盤とはいえ紅葉の谷間を抜け、何故かホッとする集落を見ながらのドライブとなった。 中央高速に入ると早起きした影響か生あくびが頻繁になってきた。危険を察知した女房、CDから流れ出した演歌に合わせ歌いだした。またちょっと音程がずれている。これではとても寝られない。 |
2003年12月2日 撮影 |
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